人はそんなに強くない
ども、ぐぴおです。
今日は、オレの好きな作家である池井戸潤さんの「七つの会議」について感想をのべる。
物語は、万年係長の「居眠り八角(はっかく)」こと、八角民生(やすみたみお)が、年下の上司、坂戸宣彦をパワハラで訴えたことで始まる。
確かに坂戸による行き過ぎた指導は周りから見ても目に余るものではあったが、それも八角があまりに働かないためであり、軽い注意程度で済む話と誰もが思っていた。
しかし、実際には驚くべき決断が下された。
この物語はちょっと珍しい構成をしており、主人公と思われた居眠り八角は実はそれほど登場してこない。
会社の中で様々な立場の人間達が繰り広げる「会議」をテーマに、それに関わる人間の人物像、思考、その人を作り出した背景を深掘りしていくのである。そして最後に八角へと結びつくという形をとっている。
一つ一つの話(会議)はとても短くまとめられており、難しい言葉など使わずシンプルな文章なので話がサクサク進む。頭にもすっと入ってくる。この辺りがオレが池井戸さんを好きな理由、
この物語は、サラリーマンとしてとても難しいテーマに触れていると思う。会社という組織の中で、各々の信念に従い行動するものもいれば、長いものに巻かれるものもいる。時には犯罪と分かっていても窮地に追い込まれ手を出してしまうものもいる。
それぞれの登場人物に自分を重ねた時、本当に自分は正しい道を選べるのか自信がなくなる。人間とは弱い。自分はどうなんだろう…
池井戸さんと言えば、半沢直樹シリーズや陸王などで知られるように勧善懲悪の傾向が強い作風だが、今作もその流れを汲んではいるもののちょっと心に引っかかる感じが好き嫌いが別れるのではないだろうか
2019年12月にはWOWOWで放送されるようなので映画はどんな感じが是非チェックしてみたい。